正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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運動でやせられるか、食事でやせられるか

冬の間に太ったのでどうにかしたい。たるんだ身体をひきしめたい。そろそろそんな気分になる春の陽射しです。厚いコートでの着膨れから解放されると、気になる季節の始まりです。さて、運動でもいたしましょうか。

ところが、「たくさん運動するとやせる効果がある」このような多くの人が信じているであろう願いをくつがえす研究結果が出ています。アメリカのニューヨーク市立大学の研究です。長くジョギングしたり、ジムで汗をたくさん流したりすることを続けていると、身体が高い活動のレベルに適応したものになってしまう。そのため、それ以上カロリーを消費することを抑えてしまうようになる、というものです。つまり、たくさん運動したからといってやせることはない、という結果です。

300人の大人を対象とし、1日のエネルギー消費量を1週間にわたり測定したそうです。運動を軽度、中程度、強度に分けてみています。家事や休憩を取らなくても続けられる程度の活動(中程度の活動)をしている人たちは、座っていることが多い(軽度の活動)人たちよりも、エネルギーを約200キロカロリー多く消費していました。けれども、ジムで汗を流し、長い距離のジョギングなど激しい運動(強度の活動)をした人たちとは、エネルギー消費においては、それほど違いはなかったそうです。

人の身体は効率よく出来ているので、毎日激しい運動をしていると、それが当たり前になるようです。これが運動で体重を落とす難しさです。

もちろん、運動は糖尿病の予防や正常血圧の維持、ストレスの軽減など健康を維持するのに役立ちます。体重を減らすかどうかに関わらず、全般的な健康に影響を及ぼすのは間違いありません。

なので、体重を管理したり、不健康な体重増加を予防し改善したりするためには、食事療法が欠かせないということです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」363号(2016年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。