正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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活動的になること

健康で長生きするために、身体活動を積極的に取り入れることが効果的と言われています。健康づくりのためには3メッツ以上の強さの身体活動が必要で、週に23メッツ以上が基準とされています。3メッツ以上の運動とは、社交ダンス、太極拳、体操、ゴルフ、カヌー、卓球、ヨガ、ラジオ体操、テニスなどです。さらに高強度の運動となると、ウエイトトレーニング、ジョギング、サッカー、スキー、水泳などとなります。これらを毎日するのは難しそうです。

そこで、身体活動を家事などの生活でみてみます。3メッツ以上のものには掃除機、お風呂掃除、階段を下りること・ゆっくりあがること、高齢者や障害者の介護があたります。これらを組み合わせて考えると、それほど無理なくできそうです。

このような身体活動量は認知症との関連も指摘されています。家庭生活を送っている認知症の方は、1日66%を座って過ごしているという調査があります。施設に入っている場合、さらにこの時間が増えて72%を座って過ごしているそうです。また、一番活動的な時間は午前8時から9時の間。朝起きて、ベッドから出るときが身体活動のピークとなっているということです。施設でも家での生活も、1日ほとんど座っていて、身体活動が低いことがわかります。身体を使わないと、脳に刺激がいきません。頭を使わないことにもつながるわけです。

他にも、歩くスピードが遅くなる、一歩の幅が小さくなることも、認知症が予測されるという研究もあります。ただし、北海道など雪で滑りやすい地域は、もともと歩幅が小さいです。

年をとってから何かを始めるのは大変なこと、老後の準備はお金だけではなく、生活を無理なく自分にあったことを考えるのが良いです。体を動かすことだけに思いをおくと、老化で動けないのは当たり前になってしまいます。人が動くと社会が動く。私は社会とつながっている。この感覚が大切なようです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」374号(2017年2月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。