正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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食事と認知症予防

食生活は認知症リスクを軽減する可能性があるとされています。目に見えないリスク、いわゆる潜在リスク、危険性を秘めているというものです。

野菜と果物をとることがすすめられていますが、その量についての研究報告が示されました。香港の高齢者保健センターに通院している1万7千人の6年間の追跡調査です。

野菜を1日に3人分とる人と、野菜に加え果物を2人分とる人の認知症の発症は、それ以下の摂取の人に比べて、少なかったそうです。詳細は分かりませんが、1日の野菜は350グラム、果物は200グラムが推奨されています。これを1人分とすると、野菜はその3倍なので、かなりの量となります。果物はリンゴ1個で400グラムなので、それほど難しくはないはず。野菜の1キロが大変そうです。取り方の工夫が必要です。

別の研究では、魚を食べることにより、アルツハイマー病を含む認知機能の低下を抑制する可能性が示されています。魚の脂はDHAやEPAといわれるものです。これが、特に記憶の課題に関する改善の可能性があるようです。サバやサンマ、イワシが良いといわれているのは脂のためです。

野菜と魚を食べる料理ですから、日本食が良いのがわかります。動物性食品を多く摂取するパターンと高乳製品パターン、それと日本食を比較している研究があります。日本食が認知症発症の予防効果をもつようです。日本食は、大豆製品、野菜、海藻類が豊富です。お米も良いです。

ただし、気を付けなければならないのは、栄養不足です。タンパク質不足になりやすいのです。高齢者にとって、タンパク質不足は、健康長寿を遠のかせます。食べすぎはいけませんが、必要量は摂取することです。

お茶も良いです。緑茶には認知神経の保護効果があるといわれています。毎日5杯以上の緑茶を飲む人と、全く飲まない人との差が出ています。

バランスの良い食事、結局これが一番です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」377号(2017年5月6日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。