正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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家事も運動

健康になるために、運動は大切なこと。糖尿病や高血圧の予防としても大切です。最近は認知症の予防にも運動が良いと言われています。運動の基本はウォーキングなどの有酸素運動です。息を止めて頑張るのではなく、呼吸をしながら運動するというものです。そのため、数を数えながらであったり、歌を歌いながらであったりするのがおすすめです。運動時間の目安は1日30分。10分を3回に分けてもかまいません。1週間に3日以上行うと効果的なようです。

ですが、毎日忙しくてなかなかウォーキングは難しいと思う方はいらっしゃいませんか。一度やってみても、続けることは難しいと感じることはよくあります。そんなときは無理をしてウォーキングで頑張る必要はありません。

日々の生活の中で消費しているカロリーを調べてみます。体重50キロの人が30分のウォーキングをしたとします。散歩程度のスピードですと、おおよそ90㎉の消費です。これを家事に当てはめてみます。

90kcalは30分ほどのモップ掛けと同じです。20分掃除機をかけると57㎉、これに家具の埃を払う10分を入れると20㎉がプラスされます。20分のお風呂掃除は60㎉になります。30分の調理や食事の準備は90㎉です。軽めの家事でもいろいろ同時にこなすと60分で150㎉近くになります。10分のベッドメイク、シーツの交換は28㎉になります。

確かに家事を真剣にしていると、汗が流れます。毎日のことなので、気がつきませんが組み合わせるとウォーキングよりもはるかにエネルギー消費していることがわかります。

このように、毎日の家事が忙しい方には、料理や洗濯、掃除などの家事も運動であることを伝えたいです。少しだけ大きめに体を動かすとか、ちょっとだけ力を入れるとか、それだけでかなり違います。さらに、有酸素運動にするためには歌を歌いながら、笑いながらです。

こまめに家事をして体を動かすことで体の機能の維持や増加になります。意識的に体を動かして、最後に運動した!と、思い切り背を伸ばしましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」389号(2018年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。