正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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サルコペニアの予防

サルコペニアという言葉、ご存知ですか。ギリシャ語で「サルコ」は筋肉、「ぺニア」は減るという意味で、これを掛け合わせた造語です。年を重ねる加齢によって筋肉がやせて筋力が低下することです。

多くは年をとることによって筋力低下を起こします。しかし、間違ったダイエットによる栄養状態の問題が原因で、若い人にも増えています。ダイエット、リバウンド、ダイエットの繰り返しは、筋肉の少ない体を作ってしまいます。やせていても脂肪の多いからだが出来上がります。

サルコペニアが問題になっているのは、寝たきりになる危険性があるからです。筋肉が衰えると、肺炎や腎臓病、糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞などの病気と関係してきます。筋肉は大切なのです。

一般的に、20歳と70歳の筋肉を比較すると、筋力は30から40%低下しているといわれています。また、50歳以降の筋肉量は、毎年1~2%程度低下し、減少した筋肉は脂肪に置き換わるそうです。

生活のちょっとしたことで、サルコペニアかどうか見分けることができます。たとえば、「片足で靴下をはく」ことはできますか。靴下を片足で履くときに、バランスを崩して足を突いたり、座ってしまったりすることは、ありませんか。これは足の筋肉が弱っている可能性を教えてくれます。

「瓶のふたをあける」ことはできますか。これまで開けることができていた瓶のふたが開けにくくなった時は要注意です。腕の筋肉が弱って、握力が低下していることが考えられます。握力は男性では26㎏以下、女性では18㎏以下が身体機能低下のひとつの目安になっています。

さらに、「信号が変わる前に、横断歩道を渡る」ことはできますか。横断歩道を渡りきる前に信号が赤に変わるのは、脚の筋力が低下して歩くスピードが遅くなっていることを示しています。歩行スピードは0・8m/s以下は身体機能が低下していると判断されます。

サルコペニアの予防は、運動と栄養摂取が重要です。どちらが欠けてもいけません。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」391号(2018年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。