正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

寒い季節に

北海道では初雪が話題になり始めました。寒い季節がやってきます。寒くなると風邪ひきやインフルエンザにかかる人が増えてきます。風邪予防やインフルエンザ予防の対策が必要です。

栄養摂取、睡眠確保、適度な運動など身体を強くするための方法は特別なことはありません。地道にコツコツ、続けることが大切です。

ところで、軽い運動をするだけでも記憶力は向上する可能性のあることが、筑波大学の研究で示されています。36人の健康な青年男女を対象にした研究です。安静に過ごした時と、自転車をゆっくりと漕ぐ軽い運動を10分ほどした時に、記憶のテストをしたものです。

記憶のテストでは、日用品の画像を数枚見せて、一般的に家の中で使用するものか、外で使用するのも可を回答してもらいます。次に、日常生活の中でよく目にする物体の写真を見せ、以前に提示したものと比べて「まったく同じ」であるか、「似ている」「まったく違うもの」であるかを選んでもらいました。そのうちの16人には記憶テスト中の脳の状況を解析しています。

結果は、軽い運動を10分間行った直後は、安静に過ごした場合に比べて、記憶力テストの成績が向上したそうです。また、脳の解析の結果から、運動直後には学習や記憶に重要な役割を担う「海馬」という部分の活動が活発になっていることがわかりました。さらに、この海馬の周辺が活発になった人ほど、記憶力テストの成績が向上していたそうです。

この結果は、高齢者や体力のない人にとっても良い情報です。今回は青年の男女を対象としています。これまでの研究でも軽い運動は高齢者に効果的ということは分かっています。なので、軽い運動が記憶にもたらす影響は、若い人に限ったことではないといえます。

冬は思い切って運動することが少なくなります。軽い運動でよいと思うと楽に始めることができますよね。少し運動してみる。身体を伸ばしてみるだけで、記憶に働きかけるなら、立ち上がって、あるいは寝転んででもやってみませんか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」395号(2018年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。