正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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お肌と花粉症対策とビタミンC

今年はスギ花粉の飛散が早くて多いと話題になっています。花粉症の方は大変な季節になりました。3月は紫外線量が増える季節です。紫外線が一番強いのはご存知の通り夏です。6月から8月が最も多い時です。ですが、3月の紫外線量は9月とそれほど変わりません。冬の乾燥で弱っている肌に降り注ぐ紫外線はなかなかのものです。

紫外線は、しみやそばかすなどの肌トラブルや皮膚がんの原因になります。しかしその一方で、ビタミンDを生成するのを助けます。ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症だけでなく、花粉症などのアレルギーやインフルエンザ、風邪になりやすくなると言われています。さて、紫外線を積極的にあびるべきか、しっかり予防すべきなのか、迷ってしまうところです。

ここでは紫外線が身体に及ぼす影響をお示しします。

太陽の光は、波長により、赤外線、可視光線および紫外線に分けられます。波長の短いものが紫外線です。さらに、紫外線の中でも、波長の長いほうからA・B・Cと大別されます。その中でも生物に一番有害とされているのが紫外線Bです。

紫外線による人への悪い影響としては、日光を浴びて短期間に現れる急性ものと、長年の日焼けで慢性的になっているものとに分けられます。急性期の日焼け、紫外線角膜炎(雪目といわれるもの)、免疫力低下などがあります。また、光線過敏症、日光アレルギー・紫外線アレルギーといった皮膚症状を生じる場合があります。慢性の場合は、しわやシミ、悪性腫瘍、白内障、翼状片(白目が翼状に角膜に侵入する病気)などです。

紫外線の良い影響は、人にとって欠かせない栄養素のビタミンDを合成することです。ビタミンDが足りなければ、先に述べたようにカルシウム代謝がおかしくなる骨そしょう症になりやすいと言われています。免疫調整機能が低下するため花粉症などのアレルギー、自己免疫疾患になりやすく、菌やウイルスの抵抗力が低くなるインフルエンザになりやすいようです。

紫外線によるビタミンDを作るための日光照射時間は、環境省や学会によってばらつきがあり、地域性も大きいです。食物からのビタミンDの摂取に加えて少し日光浴をすることも大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」399号(2019年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。