正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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セカンドライフ

私事ですが、定年までは少し早い55歳で退職しようという意思を固めました。もちろん仕事をすぐにやめるわけにはいかず、結果的には56歳になるときに退職しました。退職しようと思った理由は、結婚です。

これまで仕事も親の介護もそれなりに頑張ってきました。先輩たちに導かれた仕事の道ではありましたが、自分自身も努力してきた自負がありました。親の介護も、きょうだいとともにうまくやってきたつもりです。けれど、ふと落ち着いて将来を考えた時、パートナーの存在が大きいと思った次第です。

パートナーとは異なる生き方をし、それぞれキャリアを積み重ねてきた人生がありました。そんな中でも、仕事の悩みを話すことができたり、親の介護の表現しにくい感情を共感できたりする存在に支えられていると感じました。仕事を辞めずに、このまま支えてもらっていてもよいかと思いましたが、パートナーの年齢が少しばかり上のため、あと何年一緒に時間を過ごすことができるのだろうかと考え、残りの人生を豊かなものにしたいと決断した次第です。

私の決断を、キャリアを捨てて新たな世界に飛び込む挑戦ととらえた人たちがいました。そんな人たちは、勇気があると讃えてくれました。いわゆる熟年結婚なので、いくつになっても結婚できることを夢とか、微笑ましいものととらえた人たちがいました。そんな人たちは、ひとつの生き方を示してくれたと言います。自分の生活や老後を想像したのかもしれません。

結局、私は結婚しましたが、これまでのキャリアを買われて、働き始めました。新たなところで、新たなシステムを作る仕事です。慣れないところでの生活に加え、仕事を始めたため、スタートはヘロヘロでした。ようやくペースがつかめた感じです。これからのセカンドライフが楽しみです。

大学教員を辞し、「愛に生きる」と話した友人たちには笑われました。笑われましたが、祝福してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」402号(2019年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。