正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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老化 ‐生理機能‐

今回は生理機能、生きていることに伴うからだの働きについてみてみます。
呼吸器系では、高齢になると肺炎になりやすい特徴を持っています。
肺の働きが弱り、換気をする能力が低下します。痰を出す力が十分ではなく、喘息になりやすいです。
肺炎にならないためにも口腔内を清潔にしておくことが大切です。
心臓の働き、循環器系の機能も低下します。
特に心拍出量が低下するために、年をとると心臓は大きくなりがちです。
さらに、血管は動脈硬化が起こり、血圧が高くなります。
消化器の働きは全体的に低下します。腸の動きが悪く、便秘になりやすくなるのです。
また、ものを飲み込むための反射が低下し、むせやすくなります。
お餅がのどにつかえるのがその典型的な例です。
腎臓や膀胱の働きも低下するために残尿感があります。夜中に頻繁にトイレに通わなければならなかったり、
わずかな量ですが失禁をすることもめずらしくなくなります。
この他、ホルモン分泌の変化が起こり、ストレスに対する抵抗力が弱くなります。
加えて、貧血の傾向があり、感染に対する抵抗力が弱くなってきます。

運動機能は、老化しにくい機能と老化しやすい能力があります。
老化しにくい運動としては、手や指の運動があります。手の指は毎日使いますし、
脳の支配する部分が広いことも関係しているかもしれません。
手を使うとぼけにくいというのは、正しいことです。筋力や歩行能力は低下します。
老化は足からやってきます。
最も顕著なのは、体の柔軟性と立位バランスです。特にひねりの柔軟性の低下は大きいものです。
後から声をかけられると、上体だけひねって立ち止まるのではなく、全身で振り向いていませんか?
立位バランスはズボンをはくときふらつかないかでチェックできます。さて、あなたはいかがでしょう?


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」215号(2003年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。