正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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寒くなってきた時の体調管理

寒くなった時の特徴は、寒さに加え乾燥することです。体調管理のポイントです。水分補給も忘れてはなりません。汗はかかなくても肌表面から多くの水分が奪われています。冬でも脱水の危険があります。夏場と同じようにこまめな水分補給が必要です。

人間の体は体温が下がると免疫機能も落ちてしまいます。冬に病気にかかりやすくなるのは、そのせいです。1℃体温が下がるだけで、免疫力は30%低下するといわれています。体を温めることが大切です。

体が冷えると血行が悪くなり、健康面にはいいことはありません。血液は栄養や酸素を運ぶのと同時に、老廃物を輩出します。血行が悪ければ、老廃物もたまっていきます。肩や首、背中の筋肉に老廃物が溜まると痛みやコリという症状が現れます。

血行不良の症状は肌や髪の毛から起こります。ひどくなると、内臓などの体の重要な器官に影響し、大きな病気にかかってしまうかもしれません。たとえば、お腹を冷やすと、胃腸の働きが弱くなります。下痢や便秘は体力の低下につながります。

体調管理として、急激な温度変化を避けることも重要です。人間は急激な温度変化に弱いものです。昨日は暖かだったのに今日は寒いとか、暖房の効いた温かな部屋から急に寒い屋外に出た時など要注意です。体が急激に冷やされると、血管が急激に収縮するため、血圧が一気に上昇します。血圧の急激な上昇は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす危険があります。お風呂に入る時はその例です。

急激な温度変化は自律神経に不調をきたし、寒暖差アレルギーを起こすこともあります。寒暖差アレルギーの代表的な症状は鼻水、頭痛、蕁麻疹、体のかゆみなどです。温度差が7℃以上で発症しやすくなります。なるべく温度変化が少なくなるように、寒い場所に行くときには防寒対策をしっかりすることです。

とはいえ、北海道では7℃の差は当たり前。とにかく体を冷やさない工夫が大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」467号(2024年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。