正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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歩こう、歩こう

手軽にできるトレーニングの1番は「歩くこと」です。特別な器具がいりませんので、いつでもどこでも始められます。けれど、いつでも、どこでも、というのは案外始められなかったり、続かなかったりするかもしれません。寒さや風が強いと、気持ちがなえてしまうかもしれません。歩く目的、楽しさが見つかるまで、どう頑張るかが課題です。

特別なものはいらないのですが、足に合わない靴はケガのリスクを高める可能性があります。歩くのが辛くなるだけです。靴だけは気をつけてください。

さて、私たちの体、特に下半身は筋肉が多いです。なので、歩くと多くの筋肉を使った運動になり、血流が増えます。そうすると、全身の血流も増えていきます。これが「歩く」をすすめられる理由です。さらに、心臓機能や呼吸に機能もつかいますし、骨に刺激が入るため、骨密度を高める効果もあります。

最近の研究では、1日7500歩歩くと、今後2年間にあらゆる原因で死亡するリスクが約40%低くなる、というものがあります。1万歩を目標にすすめられてきた時もありましたが、7500歩以降は、1000歩ごとに2%リスクが減るにとどまるので、7500歩が一つの目安、これで十分な健康効果があるそうです。

かく言う私は1日2000歩程度です。2000歩は筋肉の衰えを防いで寝たきりのリスクが減るといったところです。生活にあった中で、少しでも歩く時間を作る、歩数を増やすことでよいと思います。ちなみに、4000歩では血流の促進と脳の刺激でリフレッシュ効果が大きく、うつ病の予防となるといわれています。

そして、良い歩行にすることも大切です。背中を丸めて、小幅で歩くのは、いいことがありません。まずは、歩幅は大きすぎず、小さすぎず、です。身長から100引いたぐらいと思います。大股になる必要はありません。姿勢は、しっかり前を見て背筋を伸ばすようにすることです。そして、横断歩道を渡り切れる程度のスピード、10メートルを10秒以内が目標です。格好良く歩きましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」471号(2025年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。