正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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かっこう良く歩こう

前回、手軽にできるトレーニングの1番は「歩くこと」とお話しましたが、いかがでしょうか。「歩く」を始めること、あるいは続けることはできていますか。桜の便りも届きはじめ暖かな季節となり、歩くのによい季節です。花粉症や黄砂の心配はありますが。

それでも、年を重ねると歩くのがつらくなる、よくあることです。ちょっと歩いただけで疲れやすくなったと感じたり、自分の歩く姿にがっかりしたり。「歩くこと」は体にいいといわれても、手軽といわれても、そう簡単ではないと私も思います。街角のショーウィンドウに映るわが姿を見て、がくぜんとして反省することもよくあること。年には勝てぬといいながら、少しは若く見られたい気持ちもわいてきます。

年を取ると歩く時の姿勢が崩れていることは多いもの。筋力の低下や脂肪が増えたことなど、身体の組織の変化によって腰が前に曲がっていきます。曲がった腰前を正そうと上半身を起こす。そうすると、膝を曲げてバランスを取ることになります。この立ち姿は確かに格好が良くない。

さらに、この姿勢で歩こうとすると、歩幅が狭くなる。左右の足の間隔は広くなる。つま先が外を向く。格好悪さは増す一方。トボトボ、逆にドスドス歩いているように見えて、一層年を取って見えるわけです。

それでは、どのようにしたらよいのでしょうか。まずは歩幅を意識することです。歩く時の間隔は、広すぎず狭すぎず。無理に大股にしないことです。

そして、視線は顔をあげてしっかり前方を見るようにして歩くことも大切です。地面ばかり見て歩いていると、いつのまにか前傾姿勢になり、首や肩はもちろん、体のさまざまな部分にストレスがかかります。できれば、自分の体が上からつり上げられているかのように、背筋を伸ばすように努力しましょう。そうすると、腰の前かがみが起きてきます。

最後に、横断歩道を渡りきれる程度の、少し早歩きになるスピードで歩くこと、これが大切です。

歩幅、視線、頭、スピード。意識して春の季節を感じてみませんか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」472号(2025年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。

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