人生のまとめ 老年期
人生の終焉をどのように迎えるか。だれにでも必ず訪れる「死」。その死を受け入れることが、人生の総まとめ、究極の統合といわれ、老年期の課題とされています。
老年期には、絶望を感じさせることが多く起こります。たとえば、配偶者の死。女性は男性より寿命が長く、夫は妻より年上のことが多いため、夫の死を体験する率は高くなります。夫を失った生活へ適応することが必要となってくるわけです。また、妻として、母としての存在から、老化や病気により、守られ保護される存在へと変わります。親を世話し、夫を世話した後に、自分が子供の世話になる。よくある話です。これに、ボケてしまうのではという不安が加わると、ストレスは非常に大きくなります。
大切なものを失い、自分の体の衰えをつきつけられ、さらに何かを失うかもしれないという思いは、不安をもたらします。孤独と絶望、これにどう向かうかが課題といえましょう。
孤独の受け入れ方は、これまでの生き方が関わってきます。個々人の解決の仕方があります。そのためにも過去、人生をもう一度振り返ることは重要な意味を持ってきます。自分のありのままの人生を受けとめる態度が必要になってくるわけです。老人は過去を振り返り、過去の出来事を繰り返し話します。話したことを忘れているからだけではなく、過去を自分の中で明確に位置づけようとしているのかもしれません。過去を語ることが人生の肯定的受けとめにつながります。自分の歴史をだれかと分かち合う、大切なことです。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」178号(2000年10月5日発行)に掲載された記事です。
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