正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

年をとっても自立した生活を送るために

本格的な高齢社会をひかえ、寝たきりや認知症を持つ高齢者の増加、
介護期間の長期化など、介護に関わるニーズは
ますます増えることが見込まれています。
その一方で、これまで高齢者を支えてきた家族も、核家族化がいっそう進行し、
支える家族の高齢化や子どもの減少も加わり、介護が家族にとって
身体的にも精神的にも大きな負担としてのしかかってくる状況が生じました。
このような普遍的となった高齢者介護の問題には、社会的支援が必要です。

これまで、高齢者に対する介護サービスは行政側がサービスの内容を決める、
いわゆる「措置」に基づくサービスとして提供され、
また、一部は老人医療のなかで担われてきました。
これでは思い切ったサービスの提供が期待できず、限界がありました。
そこで、導入されたのが介護保険制度です。
高齢者を等しく社会の構成員と捉えながら、
国民皆で高齢者介護の問題を支えようというものです。
今後は、介護サービスを受ける高齢者の数も
利用されるサービスの量も大幅に増加することが見込まれています。

この制度の目的は、介護の必要な状態になった者が
「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」
適切な介護サービスを保障することであり、
高齢者の世話ということではなく、自立を支援するというものです。
心身の状況や生活環境に応じて、サービスを自ら選んで受けながら、
できるだけ自立した生活を送ることは、
多くの高齢者や家族の望むところでしょう。
また、リハビリテーションが評価されるほか、
施設からご自宅での療養に必要な指導を受けた場合などにも、
介護報酬が支給され、在宅復帰に当たっての指導も受けられるよう配慮されています。
さらに、要介護状態にならなくても、
予防のために在宅サービスを受けることも可能です。賢く利用しましょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」198号(2002年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。