正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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背が縮む

健康診断で測った私の身長は、今年もまた縮んでいました。この数年、間違いなく縮んでいます。
40歳を過ぎると、10年で1センチという説もありますし、
1日の生活の中でも朝と夕では1、2センチ変化するというものもあります。

身長の縮む原因は3つ、と言われています。
ひとつ目は水分の減少です。人間のからだの水分量は、子どもで70%、成人になると55~60%、
そして老人では50%と、加齢によって減ってしまいます。
脊椎(背骨)の椎間板の水分量も同じように減ります。
そのため、椎間板は薄くなり身長が低くなるのです。

2つ目の原因は、骨粗しょう症による脊椎(背骨)の圧迫骨折や変形です。
骨粗しょう症は骨がスカスカになるため骨折しやすくなります。
閉経による女性ホルモン分泌低下の影響のため、特に女性の方が男性より約5倍も多いです。

3つ目は不良姿勢です。たぶん、私の身長が縮んだのはこのためです。
腹筋や背筋が弱り、猫背になったり、骨盤を支えられなくなったりなど、
姿勢が悪くなったためと思います。
姿勢の悪さは、腰痛、顔や首の皴の原因にもなり、良いことはありません。
良い姿勢で過ごす努力が必要です。良い姿勢は、骨盤とお腹を意識して作ります。
背筋を伸ばそうと胸を張り過ぎてしまうのは、いい姿勢ではありません。
顎を引いて、首を伸ばしましょう。
座っている時は、骨盤を立てて、お腹を凹ませることで、背筋が伸びた姿勢になります。
猫背の人は、胸を開くこと、肩甲骨を動かすこと、筋肉を鍛えることが効果的です。
筋力低下には、無理なく継続して運動することが1番です。
ウォーキングや体操などの時に、背筋を伸ばす意識をします。
電車に乗っているときも、腹式呼吸、そして長く吐くことを意識する、
これを5分続けることができれば十分なトレーニングになります。

骨粗しょう症の予防のためには、バランスよく、そして、
カルシウムの吸収に必要なビタミンD、マグネシウム、リン、たんぱく質などが大切です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」418号(2020年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。