正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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健康ということ

中学や高校の保健体育でならった健康の定義は、
世界保健機構(WHO)憲章の前文にある
「健康とは、完全な身体的、精神的および社会的良好の状態であり、
単に疾病または病弱でないということではない。」ものです。
健康は疾病の反対概念ではなく、包括的な概念といえます。
これは1946年に採択された、今から半世紀以上前のものですが、
この考え方は、その理念や方向性という点では、多くの国で共感が得られています。
けれど、完全な身体的状態とは、精神的状態とはどのような状況をさし、
社会的良好の状態とは果たしてどのような状態をいうのでしょうか。
あまりにも抽象的で、理想的で、実際に何かしようとするときの具体性や
有用性を示すことができていないというのが現状です。

少し具体的に考えてみましょう。私たちは病気を、
そしてその先に見え隠れする死を恐れ、体に良いといわれることに注目し、
病気の予防や回復に気を配ってきました。
病気がよりよい生活、満足できる人生を送るためには支障になる、
挫折を招くと受け止めてきたからといえます。
病気が生活に、人生に影響を及ぼすという考え方です。
しかし、私たちは確実に年をとり、体は弱っていきます。
ひとつふたつの病名はあたりまえとなり、
健康診断のたびに気になる結果が増え少々滅入ります。
その一方で、障害を持ってもパワフルに活動する方の姿に驚き感動し、勇気をもらいます。
これは健康を病気や障害の有無ではなく、生命や生存を維持し、
生活や人生を高めていくためのコントロール、という視点でみているのではないでしょうか。

おいしいものをおいしくいいただき、すっきり排泄し、よく眠り、
目覚めよく、痛みや不具合があっても苦痛にならず、感情がコントロールでき、
個人の属する職場や家庭、あるいは学校のような環境で
充分にその役割を果たすことができ、生きがいを感ずることができる生活を送ること。
健康をこのように考えたとき、あなたの健康はいかがでしょう。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」199号(2002年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。