正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ヒロシマ

     - 鍼灸治療

学生の頃から旅が好きでいろいろなところに行きました。まだ訪れたことのないところもたくさんありますが、あえて訪れることを避けていたのは広島です。手厳しい友人からは日本人として広島の平和記念公園に行き資料館を見なくちゃいけないよと言われながらもなかなか足が向きませんでした。というのは高校1年の時、文化祭で広島の原爆投下後の被爆をされた方々の写真の展示に関わりました。その時の写真がいつも心に残って広島へ行くことを避けていたのでしょう。

今年の4月中旬、ようやく広島を訪れることができました。朝7時半頃に宿を出て平和記念公園を散策しました。原爆被爆者慰霊碑、平和の灯、原爆ドーム、平和記念資料館が一直線につながっていることに気づき自然と手を合わせていました。平和記念資料館へは開館と同時に入館し、時間帯的に空いていましたのでゆっくり見学できました。私が大人になったせいか展示されている物から視覚的な衝撃は思ったほどありませんでした。資料館では被曝体験伝承講話が定時開催されており私の聞いた回では14歳のとき、勤労動員で芋畠の作業中に被爆した少年の体験の話でした。伝承者は淡々と語ります。聞くという行為には聞いている者の想像力がはたらくのでしょうか。あの日の14歳の少年の見たこと、痛み、不安が私の心の深いところに届いたように思います。また平和記念公園内には原爆死没者追悼祈念館もあります。そこでは原爆投下直後の広島地方気象台員の方々の奮闘を描いた柳田邦夫のノンフィクション「空白の天気図」にちなんだ企画展がおこなわれていました。「欠測しますと何十年観測したのが無駄になるんです」と壊滅的な被害を受けたなか観測を続行した気象台員たちの様子も心に残りました。

旅を終えて、友人の言葉には間違いがなく、ヒロシマの地を訪れることができてよかったと思いました。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」450号(2023年6月5日発行)に掲載された記事です。

著者
工藤由美子
F&E鍼灸院 院長

●鍼灸師
●不妊カウンセラー
●介護予防運動指導員
●ヨガライフ協会認定インストラクター
●アロマテラピーアドバイザー
●メディカルハーブコーデネーター

著者メッセージ
ヨガインストラクターを長く続けさせていただくうちに、身体の故障や不調にマンツーマンでアプローチできる方法を学びたいと思い、鍼灸師の資格を取得しました。体のしくみや病気の勉強をしていくうちに当ヨガ協会の教え「食・心・動」の大切さをあらためて実感しました。四季を感じ、無理をせず、無駄をせず、心たのしくヨガをしていきたいと思います。