マダイ
マダイは脂肪分が少なくて消化がよく、食中毒の心配もあまりないので、病人にもおすすめです。
タイの美味しい部分は頭部の目玉付近といわれています。
ここにはムコ多糖類といわれるコンドロイチン硫酸が多く含まれ、
成分が関節の髄液と同じなので骨にもよいし、肌の活性化にも役立ちます。
また、タウリンも多いので、動脈硬化や高血圧の予防になるし、
脂肪分が少ないので脂質酸化の心配もありません。
マダイの美味しい食べ方は刺身といわれますが、塩焼き、潮汁、煮付け、照り焼きもいい。
とくに、頭部を使った粗炊き、かぶと焼きにしたときの頬肉は結構なものです。
漁師が好んで料理するものに卵巣の煮付け、粗炊きがあります。
卵巣の煮付けは、身肉を使った料理よりも体によいとされています。
郷土料理には広島の浜焼き、福井の一塩焼き、佐賀のかぶし(頭)焼き、
長崎のひれ椀、石川の空蒸し、高知のさわち(皿鉢)、などがあります。
ニュージランドにはタイの卵巣の燻製があります。
やや脂っこいが、ビールやワインの肴になります。
醤酢(ひしおす)に蒜搗(ひるつ)き合(か)てて鯛(たい)願う(ねがう)、
吾(われ)には見えそ水葱(なぎ)の羹(あつもの)
「万葉集」巻十六
「醤と酢を混ぜて和えたところに、にんにくを搗き砕いてタレを作り、
そこへ鯛の生肉を薄切りにして作った膾を入れて食べたいものだと願っている私に、
ナギの熱汁のような、むさくるしいものを見せてくれるな」
ということですが、膾は、室町時代になって起こる刺身の前身で、
日本人は古くから魚肉の生食を好んでいたことがわかります。
「腐っても鯛」といわれるように、日本では魚の王様で、
祭祀やお祝いの食膳にはなくてはならないものとされています。
しかし、これが中国では「貪食の魚」、欧米では「悪魔の魚(デビルフィッシュ)」と呼ばれて、
すっかり嫌われものになっています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」214号(2003年10月6日発行)に掲載された記事です。
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