正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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豆腐

     - クスリになる食べ物

豆腐ができたのはいつごろなのか、はっきりしたことは分かっていません。
中国がルーツであることは間違いないのですが、
8~9世紀の唐時代中期ごろに発明されたものではないか、という説があります。
日本には遣唐使によってもたらされ、鎌倉時代に精進料理に使われるようになり、
江戸に入って庶民にも伝わっていった、という漠然としたことしか知られていません。

不思議に思いますのは、豆が腐っているわけでもないのに「豆腐」と書くことですが、
中国がルーツだからでしょうか・・。
中国語の「腐」には「やわらかくてプニプニしている」という意味があるそうです。
江戸の初期には、位の高い人達だけのものという認識が強く、
3代将軍の徳川家光は農民が豆腐を作ることを禁止しているくらいです。
江戸時代後半の天明2年(1782)には様々な料理本が世に出ましたが、
中でも有名なのが「豆腐百珍」という豆腐をメインにした本があります。
「続編」「余禄」と続けて出版されるほどの好評ぶりでした。
ヘルシーさが求められる現代でも豆腐は人気があります。
豆腐料理には湯豆腐、冷や奴、煮物、汁の実、田楽、揚げ出し豆腐、焼豆腐、
煎り豆腐、がんもどき、凍り豆腐など、いろいろあります。

動物食品を多く食べ、循環器系疾患で亡くなる人が1位のアメリカやヨーロッパでも
豆腐は「Tofu」と呼ばれ、人気があります。
1997年に発表されたマクガバンレポートには、生活習慣病は食が原因の食原病であり、
薬では決して治らないこと、日本の料理が理想的であること、などが明記され、
以後豆腐は健康食品として海外で認められたのです。
今では世界中のスーパーで「Tofu」を見かけることが出来ます。

良質なタンパク質は女性の美容にも高齢者の健康にも欠かせないものですし、
タンパク質だけではなく、90%が水分ですから、夏の猛暑対策として熱中症予防にもなります。
口当たりがよく、胃にもたれず、醤油や薬味との相性も抜群です。
また、イソフラボンの効用が注目され、骨粗鬆症予防もかねて
更年期の女性には不可欠な食材となっています。

包丁の切れ目清しや新豆腐
和田森早苗

豆腐


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」419号(2020年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。