正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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フキノトウ

     - クスリになる食べ物

まだ雪の消えないうちから、黒々とした土を割って、芽を持ち上げてくるフキノトウには、
春を待ちわびていたような風情があります。
フキノトウは、まさに春の先触れですが、私たち雪国に住む者には待ち遠しい春の使者でもあります。

フキノトウは、フキの若い花芽です。まだ開かない花を寒さから守ろうとして、
幾重にもかたく、つとで包まれています。このころが、もっとも美味しい食べごろです。
30センチほどの高さに伸びた3月から5月にかけて、白い花をたくさんつけます。
この花が風に吹かれて散るころに、根もとの近くから白いうぶ毛をつけて、
くるりと巻いた芽が出てきますが、これがフキです。

ほろ苦き恋の味なり
蕗のとう (杉田久女)

どんな恋か知りませんが、ちょっぴりほろ苦い過去の恋でしょうか。
フキノトウは、すがすがしい土の香りと、独特のほろ苦さが身上。
雌雄異株で、オスの花は淡黄色、メスのほうは白色ですが、
つとに包まれている間は、オスメスの区別なく食用にされます。
このほろ苦い味は、いわゆるアクで、ホモチレン酸と、
アルカリによる味覚の刺激というものだそうですが、
この苦味こそフキノトウの個性味といってよいでしょう。

昔から「春の料理には苦味を盛れ」という言葉があります。
春は、冬の間からだに蓄積した塩分や脂肪を和らげ、夏の暑さに対抗する準備をするときです。
その点で苦味は、塩分や脂肪を緩和するのに役立ち、フキノトウは、それにふさわしい食べ物です。
余談ですが昔は、フキの葉は、尻拭きに便利で、田舎ではよく使われたものです。

来てみれば
雪解けの川べしろがねの
柳ふふめり
蕗のとうも咲けり
(斎藤茂吉)

フキノトウ


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」219号(2004年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。