正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ニガウリ

     - クスリになる食べ物

ニガウリは漢字で苦瓜と書きますが、一名ツルレイシ、カッタイカズラ、キンレイなどといい、ウリ科の一年草で、沖縄の特産品として知られています。表面にはゴツゴツとしたイボがあるのが特徴です。

原産地は明らかでありませんがインドには自生のものがあり、おそらく東インド付近の原産と考えられています。古くから薬用植物として中国やインド、アラビア地方では珍重されていたといわれています。日本では「多識編」「和爾雅」、「大和本草」や「和漢三才図会」に記されているので、多分一五〇〇年代の末ごろ渡来したものと思われます。

ニガウリには独特のにがみがあります。このにがみ成分は、ククルビタシンなどのフラボノイド系の成分で、活性酸素の生成を抑制する抗酸化物質です。また、毛細血管を丈夫にして血液循環をよくするので、動脈硬化の予防に役立ちます。ストレスの解消やストレス性の胃潰瘍、十二指腸潰瘍の予防にも効果が期待できます。

ビタミンCも、キャベツの二倍近く多く、疲労回復や夏バテにも有効です。最近になって注目されるのは、糖尿病への効用です。ニガウリの種子にはインスリンと同様の働きをするインスリン様物質が含まれていることが認められています。

こんな実験が行なわれています。血糖値を高くしたネズミにニガウリのエキスを投与したところ、血糖降下作用が確認されたというのです。二〇〇年ほど前に中国雲南省で書かれた「テン南本章」には、植物の効用が説かれていますが、こんなことが記述されています。「苦瓜。(略)煩渇(口の渇き)を止める。」口の渇きは糖尿病の典型的な自覚症状です。病的な口渇感にニガウリが効くということで、当時からすでに糖尿病を患っている人の食べ物として確立していたことが伺えます。

沖縄ではゴーヤと呼ばれて、夏の食卓には欠かせない食材の一つですが、豚肉、豆腐といっしょに炒めた「ゴーヤチャンプル」が代表的な料理です。

還らざる
島苦瓜の汁ねばり
沢木欣一

日高 一


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」240号(2005年12月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。