カブ
春の七草の一つ、スズナはカブのこと。
『日本書紀』の巻三十、持統天皇七年(693)3月の条に、
「丙午(うまのひ)に詔して、天下をして桑、紵(からむし)、
梨、栗、蕪菁(かぶらかぶ)などの草木を勧め植えしむ。
以て五穀を助くとなり」とありますので、栽培の歴史はわかりませんが、
随分、古くから重宝がられていた野菜と思われます。
中国では『後漢書』に永興二年(152)、カブを栽培させたことが出ていますが、
日本の品種は、アジア系とヨーロッパ系に大別されますが、
このうちアジア系の品種は、おそらく朝鮮半島を経て、中国から古い時代に渡来したものでしょう。
金町小カブは関東の自慢のもの。天王寺カブは大阪を中心に関西もの。
聖護院カブは京都の聖護院が原産で、千枚漬けが有名。
カブには地方ごとに古くから土着した品種が多く、それを大事にする風習が濃いのですが、
いま、北海道や東北地方で栽培されている品種は、明治に入ってから、
北ヨーロッパ系のゴールデン・ボールや札幌紫といわれる品種が改良されたものといわれています。
札幌紫カブは、耐寒、耐雪性が強く、越冬カブにもなって、
多くは飼料用になりますが、漬け物にされることもあります。
カブはタンパク質の量は少ないのですが質がよく、
とくに、トリプトファンとリジンに富んでいます。
一方、葉にはビタミンAが多く、その他ビタミンB1、B2、Cもあり、カルシウムも多量に含まれています。
色カブの色素は、アントシアン系のシアニンです。
また、カブには大根と同じように、デンプン分解酵素のアミラーゼが含まれています。
カブは漬け物用と、酢の物、和え物、サラダなどの生食が主ですが、
煮物にする場合、煮足りないと青臭く、少し煮すぎると、煮くずれて厄介ですが、
カブを利用するときは、大根と同じように、葉まで活用します。
誰かしる今朝雑炊の蕪の味
惟然
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」220号(2004年4月5日発行)に掲載された記事です。
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