ヨモギ
子どものころヨモギ団子や草餅をよく食べましたが、ヨモギは「食用」としてだけではなく、
「薬用」としても有名で、古くから利用されてきました。
4月から9月にかけて収穫できますが、北海道の山地に多いヤマヨモギ(オオヨモギ)は6~7月、
葉を採取して天日で乾燥したものを艾葉(がいよう)と称して用います。
ヨモギにはいろいろの種類の栄養素が多量に含まれています。
タンパク質のほか、カリウム・カルシウム・鉄などのミネラル、
カロテン・E・K・B1・B2・Cなどのビタミンなど、
ほとんどの栄養素がたくさん含まれていますので、
民間療法では、葉を食用、薬用、美容、灸などいろいろな方法で利用してきました。
ヨモギは世界の各地で古くから薬用として多く用いられてきました。
血尿、痔などの止血には、乾燥葉5~10gを1日量とし、
500~600mlの水で約半量になるまで煎じて3回に分けて食間に服用します。
急性胃腸炎による嘔吐や下痢には、
乾燥葉5~8gに少量のショウガを加え、同じように煎じて3回に分け服用します。
神経痛、腰痛、打ち身、捻挫、痔などには、葉茎を布袋に入れて入浴剤(ヨモギ風呂)として用います。
高血圧、神経痛、胃腸の弱い場合には、新鮮な若い葉茎を絞って青汁を作り砂糖を加えて服用します。
漢方薬では、特に婦人科領域の止血薬や安胎薬として知られ、下腹部の冷痛、生理痛などに用いられます。
なお、ヨモギの葉の裏にある毛を集めたものが灸治療に用いる艾です。
モグサは6~7月に葉を取り、日干しにしてカラカラに乾燥したものをうすに入れて、粉末状に搗き砕きます。
これをふるいにかけ、毛だけを集めたものです。
草餅や草だんごは、春の行事には欠かせないのですが、
そのほかに、お浸し・ごま和え・炒め物・天ぷら、炊いたご飯に混ぜて菜飯にしても香ばしくよいものです。
沖縄には、ヨモギとぶつ切りの骨つき山羊肉を4~5時間煮込むヒージャー(山羊)の汁物や、
残りご飯にヨモギとゆでて短冊切りにした豚三枚肉を合わせて雑炊にしたフーチバー(ヨモギ)ジューシーなど
特徴のある料理があります。
おらが世や
そこらの草も餅になる
一茶
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」426号(2021年6月5日発行)に掲載された記事です。
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