正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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マス

     - クスリになる食べ物

一般にサケ類は産卵が終わると一生が尽きるのに、マスは違います。
そのあと2~3年は生き延びて、子づくりに励みます。
そのため、何か力のでる成分が具わっているのではないかといわれています。
私は子供の頃肺病を患っていたので、田舎の年寄りから
マスを食べすぎると病気が吹き出る、と、よく注意されたものです。
マスは秋冬の産卵期に故郷の河川へ回帰することはサケと同じだが、
自然現象のために海へ出られないことが起こると、産卵後もそのまま河川に残って繁殖します。
『山海名産図会』に「河鱒・海鱒の二種あり、川の物味まされり」とあるのは、
川に残ったマスの産卵期が春から夏になるので「鮭よりもうまし」というわけです。

毎年4月14・15両日に山王祭が行われるが、別名マス祭りと呼んで刺身、塩焼き、五目ずしを食べたものだが、
これは江戸時代の享保二年、越中藩主から神通川でとれたものを八代将軍(吉宗)へ贈ったのがはじまりとか。
古くは宮中の新年行事にハラカノソウ(腹赤の奏)と称して
九州から献進したものにマスの字を用いたのがあるが、実はマスではなくて他の魚という説もあります。
ヨーロッパやアメリカではサケもマスもサーモンといっているが、
海産の鮮紅色を貴重品としてレッド・サーモンと呼んでいます。
アミノ酸スコア(タンパク価)は良質。なかでもトリプトファンは神経の安定や睡眠、
鎮痛の働きに必要なセロトニンに変る必須アミノ酸です。
また、アルギニンは成長ホルモンの働きを助ける、免疫力を高める、筋肉を強くする、
生殖巣の成分となりスタミナをつけるなどの働きがあります。
ふつうマスといえばサクラマス。そのほかに海水産のカラフトマス、淡水産のヤマメ、
アマゴ(ビワマス)、メマスなどがあります。
サクラマスは北海道が中心だが、ヤマメはサクラマスの陸封魚です。

鱒生れて斑雪ぞ汀なせりける
波郷

マス


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」215号(2003年11月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。