正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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冬至カボチャ

     - クスリになる食べ物

「冬至カボチャに年取らせるな」という諺がありますが、冬至にカボチャを食べるとかぜをひかないとか、しもやけを防ぐとか、中風(脳卒中)にならないとかいわれてきました。また、魔除けになるともいわれますが、これは病気のことを魔物と考えると理解できます。

カボチャは保存性のよい野菜で、「カボチャと坊主は古いほどよい」とか、「古くてよいのはカボチャと取り上げ(助産師のこと)」といわれるほどです。保存中に水分が減少して味が濃くなり、また、デンプンが分解されて糖分が増えたりするので美味しくなります。

一般に野菜類はビタミンが少なくなりやすいので、収穫すると分解が早まります。冷蔵庫に入れておけば、若干減少が食い止められますが長期間は無理です。ところが、カボチャは皮が厚くて乾燥に強いので、なかなか腐りませんから、野菜の少ない冬至のころのカボチャはビタミンの多い重宝な野菜でした。

カロテンはガンを防ぐ効果が期待されていますが、体内でビタミンAに転換されます。ビタミンAは皮膚の状態を正常に保つ働きがありますので、寒気で荒れやすいのどの状態を保って風邪をひくのを防いだり、しもやけを防ぐのに役立ちます。中風は脳卒中ですが、長い間日本人の死因の第一位を占めていました。ナトリウムに対抗するミネラル(カリウムなど)は野菜に多いのですが冬はカボチャに依存するしかありませんでした。また、カロテンは血管の内膜が動脈硬化を起こすのを予防する働きのあることも知られています。

昔の人はこうしたことなども良く知っていて、カボチャをみそ汁の具に使ったり、私の子供のころ、田舎のお年寄りの人たちは、カボチャと小豆をいっしょに煮て、病気の予防だよといってよく食べていたのを覚えています。

やがて、長い冬を越すと、カボチャの成分にも変化が生じ、時には味が変わったり腐ったりしたこともあったと思います。貴重な栄養源であるカボチャを無駄にしないために、食べごろである冬至に食べ、本格的な寒さに対処しようとしたのではないかと考えますと、冒頭の諺はまことに含蓄に富むものといえます。

うちつれて
南瓜あそべり秋の縁
室生犀星

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」456号(2023年12月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。