コマツナ
コマツナは、代表的な緑黄色野菜で、栄養が豊富です。ホウレンソウのかわりに使われることが多いようですが、味は別として健康の面からはホウレンソウよりすぐれています。ホウレンソウのようなアクがないので茹でる必要がなく、アレルギー体質の人にも安心です。
「コマツナ」は、江戸時代、小松川村を鷹狩りに訪れた将軍により、命名されたといわれます。その将軍なのですが、五代将軍の綱吉、あるいは、八代将軍の吉宗の二つの説があります。
古名は冬菜といい、かっては冬の代表的な野菜でした。ほぼ1年中出回っていますが、本来は冬の野菜で、冬のものがやわらかく味もよいといわれます。
カロテンの含有量が多く、緑黄色野菜の代表格。カロテンは抗酸化作用によって活性酸素を除去し、細胞のガン化を予防する作用があります。カロテンは脂溶性なので、油を使う料理や脂肪の多い食材と一緒に食べると吸収がよくなります。また、カロテンは軽く加熱するだけでも体内での吸収をよくすることができます。
カロテンは体内に吸収されて、必要に応じてビタミンAに変化します。Aのおもな生理作用は皮膚や粘膜を正常に維持することです。目においては粘膜を保護して夜間など暗いところでの視力の維持に役立つ。そのために、Aが不足すると暗いところでの視力が低下する欠乏症が現れます。
また、Aが不足すると免疫力の低下や乳ガン発症のリスクが高くなることが知られています。一方、Aは過剰にとると問題が生じますが、カロテンの場合は必要な分がAに変化するので過剰の問題はないとされています。カロテン以外にKや葉酸、パントテン酸など、ビタミンが豊富です。
また、コマツナはカルシウムの含有量が多く、牛乳は、100g当たり110mgですが、コマツナは、100g中170mg。ホウレンソウの4倍含まれています。カルシウムは骨や歯の維持だけではなく、神経や筋肉の機能に必要なもの。カルシウムは日本人に不足しやすいミネラルで、とくに、成長期の骨の形成時や女性の骨粗しょう症には必要です。
桶踏んで
冬菜を洗ふ女かな
子規
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」432号(2021年12月6日発行)に掲載された記事です。
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