がんを防ぐーあしたばー
あしたばの新芽は、朝の惣菜用に摘み取っても翌朝には新しい芽が芽吹いてくる(実際には4‐5日要します)といわれるほど強い生命力があるところから「明日葉(あしたば)」と呼ばれるようになりました。
あしたばは日本原産の多年草で、大島や八丈島には自生していますが、冬でも枯れないほど勢いがある植物なので「不老長寿」の妙薬とされてきました。事実、栄養分に富んだ成分をたくさん含んでいます。
ビタミン類を非常に多く含んでいるあしたばですが、とくにカロチンの含有量は緑黄色野菜の中でも上位にランクされます。ビタミンB1、B2、C、Kも多く、植物には含まれることが少ないB12もあります。ビタミンB12は悪性貧血の防止、脱力感の解消、スタミナをつけるなどの働きがありますが、他の植物性食品ではとりにくい栄養素です。
カルシウムとリンの比率も申し分なく、鉄分、カリウムの量は豊富です。また、抗ガン作用があるとされるゲルマニウムも含まれていますし、β‐カロチンが体内に入ったときのビタミンA効力が期待できる野菜なので、ガン予防はもちろんのこと、血圧降下作用もあります。
また、あしたばにはビタミンCを補助するフラボノイド(ビタミンPともいう)が豊富に含まれていますので、毛細血管を保護強化するのに役立ちます。葉や茎をちぎると黄色い汁が出てきますが、これがこの成分。利尿、心臓の強化、便通を整えるなど大腸がんの予防にも役立ちます。
「フラボン」というのは「黄色」という意味で染色力が強いことから、八丈名物「黄八丈」の染料になりましたし、また、風味の成分の精油には食欲増進、疲労回復、強精効果が大きいとあって、古い文献によりますとかつては「チンタチソウ」と呼ばれていたこともあったとか。
保元の乱(1156年)で敗れ、伊豆大島に流された源為朝は「我なくも、行く末守れあした草、はもする人のあらんかぎりは」の歌を残しています。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」159号(1999年3月5日発行)に掲載された記事です。
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