スイートコーン
どんな食べ物にも食べごろ、旬があります。北海道の夏の味覚に欠かせないのがスイートコーンです。スイートコーンは、とうもろこしの中の甘味種に属するものですが、未熟とうもろこしと呼ばれるもので、生育途中で収穫されるイネ科の野菜です。近頃は一年中と言っていいほど、店頭に出回っていますが、7月末から九月初めにかけての一カ月ちょっとの間が、スイートコーンの旬でしょうか。
とうもろこしの原産地はメキシコから南アメリカ北部地域とされていますが、その原種・原産地は未だ定かではありません。日本へは16世紀後半にポルトガル人によって長崎に伝えられました。その当時のとうもろこしは、家畜の飼料用に使われる硬いものでしたが、20世紀の初めになって、北海道でスイートコーンの試験栽培が始められました。
スイートコーンの場合、大切なのは食味、特に、甘みと香味がポイントになります。私の田舎では、昔から「スイートコーンは、鍋にお湯を沸かしてから採りに行け」という言い伝えがありますが、鮮度の低下が激しい作物です。しかし最近では、収穫後、数時間たっても甘みが減らないハニーバンダム種や、糖度が安定しているバイカラー種が人気で、市場を独占しつつあるようです。
スイートコーンはタンパク質・脂肪・糖質が多く、野菜よりも穀類に近い栄養価があります。ただ、このタンパク質には必須アミノ酸であるリジン、トリプトファンが少ないので卵・肉・魚などの動物性食品、あるいは、豆腐や豆乳などの大豆食品と組み合わせるとタンパク質の栄養価がよくなります。
ミネラルではカリウム・リン・鉄・亜鉛・マンガンなどがかなり含まれていますので、体液・骨・血液などの健康維持に役立ちます。ビタミンでは代謝を高めるB1・B2・ナイアシン・パントテン酸が胚芽に多く含まれています。
スイートコーンには不溶性の食物繊維が多いので、便秘を予防・改善し、発ガン物質などの有害物質を排出するのに役立ちますが、表皮が硬いので、よく噛んで食べることが大切です。
札幌や玉蜀黍を焼く匂い
櫂未知子
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」439号(2022年7月5日発行)に掲載された記事です。
著者 |
|
略歴 |