正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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タンポポ

     - クスリになる食べ物

タンポポはキク科の多年草で、繁殖力の旺盛なことは抜群。気ままに飛び散ってどこにでも定着して増えます。いまや在来種の日本種を席巻して、セイヨウタンポポが生い茂っています。

ヨーロッパが原産で、日本では北海道から広がり始めた帰化植物です。伝わってきた経路は、ヨーロッパからアメリカに渡って広がり、明治初年、札幌農学校(現北大)創立当時の教授ブルックスが野菜用として、北アメリカから種子を取り寄せて栽培したが、それが脱出して野生化したともいわれています。また酪農の父といわれたエドウィン・ダンが、牧草といっしょに導入したとか、外国からの積荷に混じってきたとか、いろいろいわれています。

元禄十年(一六九七)、京都で発行された宮崎安貞の「農業全書」巻四、菜之類二六種中に、ネギ、ニラ、ゴボウ、ホウレンソウ、フキ、シソ、シュンギクなどと並んで、タンポポがあげられ、次のように述べています。

「たんぽぽは、秋苗を生じ、四月に花咲く。黄白の二種あり、花は菊に似て、あひらしき物なり。夏たねを取りをき、正月蒔て苗にして、移しうゆるもよし。山野にをのづから生るを苗にするもよし。味少苦甘く料理に用ゆる時、葉をとり除き、ひたし物、あへ物汁などに、料理してよし。是を食すれば大用の秘結をよく治するなり。畑の廻り菜園の端々、多少によらず、かならずうゆべし。食毒を解し、気を散じ、婦人の乳ようを治す。」

このなかの「大用の秘結」は便秘、「乳よう」は乳にできる悪性の腫瘍のことです。いまでこそ邪魔物あつかいされているタンポポですが、天明、天保の大飢饉には、救荒植物として利用された貴重な植物だったのです。

われを見てなくよ
仔牛の口をあけて
口の中に見ゆる
たんぽぽの花
吉植庄亮


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」236号(2005年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。