ヘチマ
ヘチマは熱帯アジアの原産で西部アジアのアラビア地方が栽培の発祥地といわれています。しかし、アジアのほかアメリカやアフリカにも野生があるともいわれていて、現在は世界各地で栽培されています。
日本に伝わった年代は明らかでありませんが、「多識編」(一六一二年)に倍知麻(ヘチマ)の名が初めて出てきます。「和爾雅」七巻には糸瓜(ヘチマ)、布瓜、天羅などの名で記述されています。また「日本博物学年表」によると、文政四年(一八二一)十一月二七日に糸瓜水五升(九〇〇〇ml)を薬用として幕府に献上した記録があります。
ヘチマの若い果実は漬物などにすると独特の風味があります。沖縄では、ヘチマ料理が郷土のものとして親しまれ、鹿児島でもよくスキヤキ鍋に入れて食べるなど、ヘチマは大衆的な食品になっています。
東洋医学では清暑剤、清涼剤として用います。外の温度が高くなりすぎると、体温の調節が鈍くなってきます。そうなると体内の代謝機能が異常に亢進して、いわゆる暑気あたり、体がほてる、だるくなる、さらには尿が赤くなって熱が出るなどの症状が現れます。これを正常に戻す働きがあります。
また、ヘチマの効用として、乳や尿の出がよくなる、腫れ物や痛みが去って皮膚病をなおす、また、痰を切り、血を冷やして、解毒や血行を活発にするので神経系統の病気にもよい、といわれています。ヘチマは俗に「美人水」と称して、化粧水として使われ、アセモ、ヒビ、アカギレ、ヤケドにも用いられます。
また、ヘチマの繊維は、果実をそのまま清水につけておくと果肉や皮が軟化するので、それを洗い落としたあと、種子をとり、つるして乾燥したものです。靴の敷皮、洋服などの芯、風呂場の垢すりなどに使われます。
良寛の墓の道なり
糸瓜稲架(はざ)
田中成一
日高 一
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」239号(2005年11月5日発行)に掲載された記事です。
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