正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

HbA1cに暴かれる

糖尿病の疑いを持つ私。健康診断の1週間前から食事には気を付けています。しかし、それでも引っ掛かります。空腹時血糖値は正常範囲に収まるのですが、HbA1cに食生活を暴かれます。HbA1cは「糖化ヘモグロビン」とも呼ばれています。ヘモグロビンは赤血球の中に大量に含まれる、酸素を運搬するタンパク質です。このたんぱく質に血液中のブドウ糖、すなわち血糖がくっついたのが糖化ヘモグロビンです。赤血球の寿命は120日と言われています。過去1~2か月の血糖値の平均を反映するものです。ですから、1週間ぐらい食事に気をつけたぐらいで変化しません。

HbA1cを下げるには、血糖コントロールを良い状態にすることがポイントです。血糖コントロールを良い状態にするには、血糖値を必要以上に上昇させない、糖の吸収を穏やかにする、運動を習慣的に行う、日常生活でこまめに動くことなどが大切です。

まずは、食事と食事の間隔が空きすぎないようにすることです。たとえば、朝食を抜くことがある、忙しくて昼食を抜いてしまう、夕食の時間が遅くなる。こんな人は要注意です。こんな食事の状態では、食後の血糖値が急上昇し、その後急激に下がります。これを血糖値スパイクと言います。食後の眠気がひどいことはありませんか。この場合は、血糖値スパイクの可能性があります。血糖値が急激に上下することで体が疲れて眠気になるのです。血糖値スパイクが起こる原因には、食べすぎや早食い、ストレスや睡眠不足があります。ゆっくりお食事、ゆったり体を休めることが必要です。

次に、夕食後の間食は控えめにすることです。夕食の後、それも遅い人は食べた分のエネルギーを使うことは少なくなります。血糖コントロールを乱す原因になります。

そして、最近よく聞きますが、食事のはじめに野菜や海藻類を食べることです。食物繊維の多い食事は血糖値の急激な上昇を抑えることにつながります。おすすめです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」448号(2023年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。