正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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マクワウリ

     - クスリになる食べ物

私は小学校4年生まで(当時は国民学校といっていた)埼玉県の行田市に住んでいましたので、少年のころは、近くの川で泳いで家に帰ると、井戸の中で冷えた「マクワウリ」を、よく食べたものです。ひと昔前までは、夏の味覚の代表でしたが、今では、店頭でマクワウリを見つけるのにはひと苦労するようになりました。

メロンはマクワウリの変種ですが、マクワウリは東洋系メロンを代表するもの。最近ではすっかり有名になった網メロンは、ヨーロッパ系メロンを代表するもの。普通ネットと呼ばれている外観が網状のメロンは独特の芳香・肉質・甘味を兼ね備え、俗に果物の王様といわれています。

日本で最初に見つかったマクワウリの種子は、縄文晩期の菜畑遺跡(佐賀県)で、弥生時代の遺跡からはイネ、モモ、ヒョウタン、クルミと並んで出土数も多いことから、マクワウリの渡来は、縄文晩期に、水稲農耕に伴って中国からもたらされたと考えられています。

1万粒を超える多数の種子遺体が確認された代表的な弥生遺跡である池上遺跡(大阪府)では、前期から後期へと進む中で、雑草メロンからマクワウリへと変化しているのが見られるそうですが、これは、弥生人の栽培技術の営みによるものと考えられています。

時代が移り、江戸時代の「農業全書」によりますと菜の項で「先を留る事」では、「良い瓜は、孫蔓になる」ので、「三葉四葉の時、しんをつみさるべし」とし、孫蔓をつくるための「摘心」の大切さを強調していますマクワウリの親蔓、子蔓には雄花しかつかず、孫蔓に両性花がつくという着花習性を知悉していて、この時代に、すでに摘心の技術が確立されていることに驚きます。

メロンには利尿作用があり、むくみ、高血圧、腎臓病などの人には良い食べ物といえます。ビタミン、ミネラルもバランスよく含まれますので、夏バテ回復には利用したい果物です。
マクワウリは見る機会が少なくなり、姿を消そうとさえしていますが、弥生時代から2千年余りの間、私たちの祖先と深い関わりのあった果物であることを心に留ておきたいと思います。

メロンの香
匙すべらせて老い兆す
原田種芽

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」452号(2023年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。