正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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だいず

     - クスリになる食べ物

だいずには、黒大豆と(黒豆)黄大豆(普通の大豆)とあって、古くから薬用には多く黒大豆が用いられています。

「本草網目」には、黒大豆の効能をあげていますが、その一部には例えば「生の汁は廱(よう 急性の化膿性炎症)に塗ると効があり、煮汁は水腫れを押しのけ、胃中の熱を除き、瘀血を下し、五臓の結積を散らし、煮て食すれば温毒水腫れを治し、中をととのえ、気を下し、金石の薬毒を制し、黒く炒って酒の中に入れて飲むと産後の頭風(頭の痛む病)を去る等の効があり、甘草と煮てその汁を飲むと一切の熱毒の気を去り、風毒、脚気を治す」とあります。このようにびっしりとあるだいずの薬効に対して「大豆は畑の肉、されど害なし」といったのは中国革命の父、孫文です。

だいずは五穀のひとつで、日本では米、麦についで重要な食料です。古くから植物性タンパク質をたっぷり含む作物として大切にされてきました。ときには神聖視もされてきました。節分に行われる豆まきもそのひとつでだいずが厄よけになると考えられてきました。身近なものでした。そのだいずも現在では、大部分をアメリカや中国からの輸入に依存しています。

「畑の肉」などといわれますのは、植物性タンパク質が多く、そのアミノ酸組成が動物性タンパク質に似ているからですが、実際に肉を食べるよりもはるかに健康に良いものですから肉中心の欧米でもいま、見直されている食材です。

だいずはご承知のとおりタンパク質の宝庫ですが、植物性タンパク質に不足しがちな必須アミノ酸が多いのが特長です。また、肉並みにある脂肪分もほとんどがリノール酸などの不飽和脂肪酸で、この中には血管を拡張して血圧を下げたり、血管の傷を治す血小板の働きをよくしてくれます。

また、だいずの特殊成分サポニンは水にも油にも溶けて、体の中をきれいに洗ってくれる成分なので、コレステロールを分解し、血液の循環をスムーズにしますので、心臓病や高血圧の人にはだいずがすすめられるわけです。

豆めしをよろこぶことをよろこびぬ
勝又一透

西野次朗


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」471号(2025年3月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。