正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ホタテガイ

     - クスリになる食べ物

ホタテガイの旬は夏ですが、最近はほとんど養殖ものになっているので、
本当の旬のものにはなかなかありつけません。
しかし、貝の養殖はハマチやウナギなどと違い、エサにイワシを与えたりしないので、
自然の味、栄養分に近いといえます。

大きな貝柱には、女性ホルモンの分泌を促す特殊な成分が含まれているので、
女性にはもちろんですが、男性にとっても健康・美容に良いといわれています。
貝柱の主成分はタンパク質です。このタンパク質は生だと20.8%、
干物にすると77.6%と圧倒的に多くなります。
独特の甘味は、グリコーゲンなどのエキス類が多いからで、
コレステロールはアワビやカキなどの貝類に比べると半分以下、
その反対にEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)は多いといわれています。

ホタテガイは、両方の貝殻を強く開閉して吐き出す水流で泳ぎます。
一回の噴射で一~二メートル、一晩で五百メートルも移動することがあるので、
昨日いたところに今日いってみると大量のホタテが姿を消していることがあるそうです。
古い文献によりますと、北海道の沿岸を航海していた船員が、
船の進行方向の前方水面に真っ白な大きな帯のような塊が移動しているのを目撃した記録があります。
それによると、一方の深く湾曲しているほうの貝殻を舟に、
もう片方の貝殻を立ててまるで帆を立てるようにして
風を受けて沖へ移動中(?)のように見えたといいます。
その時、貝と貝がぶつかり合って異様な音がしていた、と記されています。
ホタテガイの集団移動です。ここから帆立貝の名がついたという人もいます。
大きくて丈夫な貝殻は、昔から鍋代わりに利用されてきました。
縄文人や弥生人たちが、大きなホタテガイを海辺で拾ってきて
そのまま火にかけ貝柱の海水蒸し煮にしたのが、料理の始まりといわれています。

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この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」197号(2002年5月7日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。