トマト
トマトは南米ペルーが原産といわれています。日本へは1600年代に中国から渡来しましたが、鑑賞が目的で、好きな人たちが庭などに植える程度でした。食用として栽培されるようになったのは明治40年代からのちのことです。
「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺がありますが、トマトはビタミン類に富んでいて、トマトが赤く熟するころには病人が少なく、医者にかかる者が少なくなることからいわれたものです。子供のころは、トマトの青くさ味がいやでなかなか食べられなかったのですが、大人になるとなぜか舌がうまさを感じてくるものです。
果実にはビタミンAやCが割合いに多いほか、有機酸(クエン酸、リンゴ酸など)、ミネラル(リンとカリウムが多い)が含まれていて、生食したり、ジュースとして飲用すると、からだのためになります。
ヨーロッパには「トマトをつくる家に胃病なし」という諺もあるそうです。
しかし市場に出回っているトマトは、多くが青いうちに収穫されたもの。熟し切ってからでは傷みが早いので早いうちに収穫され、流通のうちに熟していくのです。冬ならば熟度8割くらい、傷みの早い夏なら熟度5割くらいのときに収穫されてしまうそうです。これでは味も落ちるし、豊富なビタミン類も完熟トマトに比べるとずっと少なくなってしまいます。
トマトの赤い色の主成分はリコピンという色素で、リコピンには高い抗酸化作用があって抗がん作用が期待できます。トマトをたくさん食べる人は、消化器系のがんの発生率が低いといわれています。
トマトにはビタミン、ミネラル、酵素が豊富なのでいろいろな薬効があります。肝機能を強化し、解毒作用を促進する。脂肪の消化作用が強いので、料理に使ったり、食後に食べるとよい。
特に肉食の多い人は、肉の害を中和し、消化液の分泌を促進して食べ物の燃焼をよくするので大いに食べるとよい。
脂肪の消化作用や肝機能を強化させるなどの薬効があるので動脈硬化、高血圧、糖尿病などには常食するとよい。また、ミネラルや酵素を多量に含んでいるので老人、病人、虚弱体質のヒトには効果が期待できます。
西野次朗
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」474号(2025年6月5日発行)に掲載された記事です。
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