納 豆(一)
納豆の歴史は古く、弥生時代までさかのぼります。当時は、稲作文化をもつ弥生人は竪穴式住居で、ワラの上で寝起きしていました。ある日、食べ残しの煮豆がワラの上で発酵しているのを発見。おそるおそる食べてみると、意外においしい。ワラには納豆菌がたくさんついていたのでしょう。これがきっかけで納豆の類似品を食べるようになったと思われます。
あのネバネバや独特の匂いのせいで、好き嫌いがはっきりと分かれる納豆ですが、大豆のもつタンパク質やレシチンを残しているのはもちろんのこと、原料の大豆をこえるよさがいくつもあります。さまざまな効能が科学的に解明され、体に良い食べ物としてクローズアップされるようになりました。
納豆に含まれる栄養成分の中でも、ナットウキナーゼという酵素には、血栓(血管の中で血液が固まっているもの)を溶かす働きがあります。これはもとから大豆にある成分ではなく、納豆になってはじめて生まれる成分で、その効果は血栓治療に用いる薬品に負けません。
このほか、納豆には、血圧を下げる大豆タンパク質、リノール酸、サポニンや血管の壁についているLDL(悪玉)コレステロールを溶かすレシチンもありますし、そのほか余分なコレステロールを排泄する食物繊維、内出血や鼻血の予防に有効なビタミンKなども含まれています。このビタミンは女性の生理の時に出血多量にならないようにも作用します。
また、ビタミンB群が豊富で、特にB2はゆで大豆の約六倍あります。ビタミンB2は体の中の過酸化脂質を取り除いたり、血液中の不要な脂肪分を分解してくれますので脳血栓、動脈硬化、心筋梗塞などを防ぐのに役立ちます。ですから食事に脂肪が多いとビタミンB2は消費されて失われます。納豆は血液をサラサラにし、丈夫な血管を保つために、たいへん有効な食品です。
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」183号(2001年3月5日発行)に掲載された記事です。
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