イワシ
鉄分を圧倒的に多く含んでいる魚はイワシです。
牛のレバーより鉄の含有量が多いので女性の貧血予防にお勧めです。
平安時代、『源氏物語』を書いた紫式部も『枕草子』を書いた清少納言も
イワシが大好物だったようです。
紫式部はある日、夫の留守にイワシを焼いて食べていたところ、
夫の宣孝が帰宅し「こんな下品な魚を食べるものではない」と文句をいわれました。
そこで、紫式部は早速、「日の本にはやらせ給ういわし水、まゐらぬ人はあらじとぞ思う」と
和歌を詠んで宣孝をやり込めたというエピソードがあります。
イワシは食味もさることながら、薬効も多く、再び脚光を浴びています。
イワシの脂肪の中に含まれているEPA(エイコサペンタエン酸)や
DHA(ドコサヘキサエン酸)はコレステロールを正常にする、中性脂肪を減らす、
ガンを予防する、高血圧を改善するなど、いろいろな働きのあることが確かめられています。
また、イワシにはPOA(パルミトレイン酸)と呼ばれる成分も多く含まれていますが、
この成分には脳の動脈硬化を防いで、脳卒中を防ぐ働きがあります。
また、イワシにはカルシウムも多く、皮や血合い肉にはビタミンCも豊富です。
素干しにするとカルシウム価が高くなりますので、
子供の頃から頭ごと食べる習慣をつけておくと骨や歯を強くして、
精神を安定させるのに役立つと思います。
「イワシの頭も信心から」といわれてきましたが、
実際に、イワシの頭を黒焼きにして飲みますと歯の痛みがピタリと治ります。
また、黒焼きの粉をゴマ油で練って耳の付け根に貼ると、中耳炎に効くといわれます。
昔から、イワシは食べてよし、健康によし、薬によしの三拍子揃った、日本人の有り難い味方だったのです。
西日して薄紫の干鰯
杉田久女
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」196号(2002年4月5日発行)に掲載された記事です。
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