正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

*

21世紀の医療提供のあり方―利口な消費者となるために

日本の保健システムは世界最高と言われています。
これは全般的な生活水準や公衆衛生の向上により、
世界最高の平均寿命を達成していることの評価でもあります。
しかし、日本の少子高齢化の進展、医療技術の進歩、
そして国民の意識変化等を背景に、新たな問題も生じています。
医療サービスの消費者として、利口な消費者となるために、
そして自分自身を守るために、私たちは医療の質を判断し、選択していかなければなりません。

日本の医療体制は、諸外国に比べ人口当たりの病床数は多いです。
けれど、全体としてみますと、病床当たりの医療従事者は少なく、平均在院日数が長くなっています。
また、各医療機関の情報が少なく、患者として医療機関を選択しにくい状況にあります。
そのため医療機関相互の競争が働きにくく、医療機関の努力が不要な状況になっています。
自分の治療に積極的に関わろうとしても、病名等の用語や医療の専門用語の使用が多く、
情報を提供されても理解するのがなかなか難しいです。
理解できてもできなくても、「おまかせ」状態になってはいませんか。
これでは良質の医療を受けられるとは言えません。

医療提供に携わる関係者だけではなく、情報公開が進み、これに連動して、
患者側においても責任ある参画が求められ始めました。
患者の立場を尊重すると言うことは、同時に患者の自己責任がついてきます。
そのため、治療方針や治療方法の選択肢の説明が適切に行われ、
医師との信頼関係の下、患者の選択を尊重した医療の提供が必要となります。
また、ひとりの医師の判断のみではなく、他の医師の意見を求めることも大切となります。
理解できるよう医師に説明を求めるのは当たり前の時代ですから遠慮はいりません。
判断できないときには、どこまで理解できたのか、何がわからないのか、
迷いや不安は何かを自ら説明することが必要です。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」196号(2002年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
北海道大学 大学院保健科学研究院 生活機能学分野 教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。