ウニ
こどものころ古里の海でよく遊んだものです。
潮が引いて磯が見えるようになると肩まで海に浸かって
足でウニの刺を探し当てると、そのまま素潜りしてウニを取り、
その場で割って食べたものです。
ウニの食べ方には焼ウニ、塩辛などいろいろな料理方法がありますが、
あの頃、浜辺で食べた食味はいまでも味蕾の奥にしみこんでいます。
ウニの仲間は種類が多く、世界で約900種、
南北に長い日本では200種もあるといわれます。
日本のウニの大半は夏に産卵しますが、
バフンウニは春で、1個で100万粒から500万粒の卵を産みます。
ウニの身体の不思議なところは、頭も脳もないこと、
旬のウニは身体の大部分が卵巣で、生殖巣そのものを
クリのようなイガで包んでいるようなものです。
鮮度の良い生ウニは、卵巣が固まっていて特有の味と香気があります。
これはリン脂質があるためで、古くなるにしたがって
水っぽくなり味や香りが消えていきます。
ウニは古くから「海のホルモン」といわれ、強精薬がわりに
食べられてきましたが、タンパク質、脂質、ビタミンA、B1、B2が
たっぷり含まれています。
カルシウムの含有量も100グラム中18.8ミリグラムで、他の食品を引き離しています。
精神不安定から家庭内暴力を起こしたり、犯罪に走ったりする子供たちの食事を調べると、
極端にカルシウムの摂取が少なかったことが分かっています。
ウニは、日本では縄文時代から食用とされてきたことは知られるとおりです。
イタリアのポンペイの遺跡からも殻が出土していますが、
地中海沿岸でもかなり昔から食用とされてきたようです。
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、ウニを生や火で
調理して食べると書き残しています。
それにしても食いしん坊で、食べ物に敏感といわれる中国人が、
歴史的にウニを喜んで食べないのは不思議に思います。
雲丹さしの
昼餉の量を得てもどる
鈴木 元
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」198号(2002年6月5日発行)に掲載された記事です。
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