イカ
一口にイカといいますが、軟体動物頭足綱十腕形綱に分類されているものの総称で、
これだけでは何のことか分かりませんが、貝と同じ軟体動物の仲間です。
世界で約500種類、日本近海では約130種類が知られています。
日本人は大変イカ好きですが、それは日本近海で漁獲されるものだけでも80種類いて、
昔からなじみが深かったせいだろうと思います。
普通、イカといいますとスルメイカ(マイカ)を指しますが、
北海道の沿岸ではヤリイカ、アオイカなども獲れます。
関東では麦秋(初夏)の頃から獲れ始めるので、「麦イカ」と呼ばれます。
日本海沿岸では「夏イカ」と呼ばれて、「ひと雨ごとに大きくなる」といわれるほど成長が早く、
スルメイカは胴長約30センチ、アオイカは胴長約40センチにもなります。
イカを加熱しますと丸く反るのは、内部の筋肉層のコラーゲンが収縮して
外側の層が引っ張られるからです。
筋肉中に含まれるタウリンは血液中のコレステロールの増加を抑制する働きがあります。
タウリンには、その他に強心作用、肝臓の解毒作用の強化、
血圧の正常化、視力の回復などの薬理作用が期待されています。
イカの墨汁の黒色はアミノ酸のチロシンが変化して作られますが、
その過程でつくられるドーパ(DOPA)は神経伝達物質となります。
また、イカは気管支喘息、腎臓、子宮出血や外傷性出血、
胃や十二指腸潰瘍にも効くといわれています。
イカの沖漬けや富山県には「イカの黒作り」というイカの墨を使った塩辛がありますが、
スペイン人は料理にイカの墨を使います。この墨には、アミノ酸がたくさん含まれていますので美味です。
リゾチームもありますので防腐力も強い。
ただし、イカを自分で刺身にして楽しんでいる方は、
最近、アニサキスという寄生虫が魚介類に寄生していて、これを除去しないで食べると、
体内で胃壁に食い込んで激痛を起こすことがありますので、
刺身を作るときはよく明かりにかざして寄生虫の有無をたしかめてから食べるようにしましょう。
烏賊釣りの
わが灯ひとつにつづく闇
吾亦紅
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」201号(2002年9月5日発行)に掲載された記事です。
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