自分に合った食事を
食糧学・栄養学の権威である故川島四郎先生は、
「年齢に応じて自分の力で採れるものを食べることが正しい食事」といっています。
原始時代、人々は自らの力で食料を手に入れなければなりませんでした。
力のない女や子ども、老人たちは、木の実をとったり、貝や海藻を拾ったり、
時には魚をとったりしました。
また、腕力や脚力がある男たちは、シカやゾウなどの動物をつかまえました。
また、赤ん坊は、母親の与えるオッパイしか飲めませんし、
幼児は熟して木から落ちたくだものくらいしか採ることができなかったはず。
このように自分自身の力で手に入れられるものを食べていれば、
人間はその年齢にあったカロリーと栄養がちゃんととれるはずだと川島先生はいっているわけです。
これは、昔も今も変わらないと思います。
発育盛りの子どもは野菜をはじめ小魚などの魚介類を、
青少年期の働き盛りならボリュームたっぷりのステーキもOK。
そして老年期に入ったら、海藻類やくだもの、野菜を食べるのが健康的というわけです。
やはり年代によって、体力や体調を考えて、食事のメニューは変えていくべきだと思います。
昔の言い伝えに「三里四方のもの食えば病気せず」というのがあります。
これは、自分の生まれ育った土地の周辺で採れたものを、バランスよく食べていれば、
大きな病気にもかからず、長寿が保てるということです。
しかし、なぜか日本人は、外国の食生活をまねしようとする傾向が強いように思います。
欧米でスパイスが発達したのは、長く保存しておいた肉を食べるために、
その臭みを消す必要があったからですし、中国料理が油っこいのは、
中国の水が日本の水ほどきれいでなかったために、炒める必要があったからです。
つまりその土地で発達した料理は、その土地なりの理由があったからですが、
そういう理由をないがしろにして諸外国の食生活をまねるのは、
日本人の健康のためには、あまりいいこととは思えません。
郷土料理や〝おふくろの味〟を見直してみたいと思います。
五升薯と
いひて珍重蝦夷に住む
高浜年尾
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」406号(2019年11月5日発行)に掲載された記事です。
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