タラ
タラは、魚偏に雪と書きます。雪の季節が旬で、寒い冬がタラ漁の本番です。
激しい吹雪が北の海を襲う頃、タラは200~500万粒の卵を産みます。
そして、この時期に、底引き網や底刺し網、述べ縄漁で漁獲されます。
マダラの食べ頃は、いうまでもなく冬です。淡白な味の白身で、水分が多く、
脂の量が少ない魚ですが、ミネラルやビタミンDの多いのが特徴です。
肝臓にはビタミンAが多く、マダラの卵巣の塩蔵品(タラコ)にはビタミンEが多い。
また、ビタミンB群を多量に含んでいますので、
消化促進、血流の循環、皮膚や爪、髪の健康にもよい食品です。
マダラの精巣(白子)には、ミネラル類、アルギニンが多いので、元気の素になります。
タラの漢字に「鱈」が当てられているのは、古書に
「タラ、雪中に出ずるに困って、この字をつくりたるべし」とあったからだといわれています。
北海道の言い伝えに「タラチリと雪道はあとほどよい」というのがありますが、
これは、味の深さを教えているのだと思います。
また、東北の諺に「タラは馬の鼻息でも煮える」とありますが、これは、煮立ちやすさを表しています。
タラの干物の棒ダラは、古い昔から、どこの国でも、国民の重要なタンパク質の源でありましたし、
商取引の対象になっていました。ですから、干物は日本の棒ダラばかりではなく、
ヨーロッパにもストックフイッシュ(stockfish)として干物が存在していました。
日本では、北海道の棒ダラは、北前船で、日本海沿岸の各地へ供給されていました。
その名残としていまに残っているのが、京都の「いも棒」という、サトいもと干ダラの煮物です。
京都には、海産物やその他の動物性タンパク質源がありませんでしたので、
若狭(福井県)に届いた棒ダラと、若狭に水揚げされたタラの加工品は重要なタンパク質であったのです。
「いも棒」や「さばずし」「にしんそば」は、
動物性タンパク質源のために、工夫された貴重品だったのです。
値切られて
腹たたかれし子持鱈
輝行
この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」204号(2002年12月5日発行)に掲載された記事です。
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