正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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統合医療とは何だろうか? 第45回

     - 統合医療

次の法則は「直観に従う」です。

ケリー・ターナーは、「直観とは人を危険から遠ざけたり、病から回復するために実に貴重な能力である。」と言っています。太古の昔、私たちの祖先が狩猟生活をしていたころ、嵐の予兆や熊やライオンなどが近づいていることに自ら気づいていたはずです。これらに気づかなければ、自分の命がいくつあっても足りないことになるでしょう。その頃にはインターネットは無論、テレビやラジオの天気予報を見たり聴くこともなかったのですから、自分の直観力で危険を予知する以外に、自分を守ることはできなかったのです。動物は体調が悪くなると何も食べずに横になって時を過ごすといいます。自分の体の発する声に従って体を治しているのです。人間にももともとこの直観力が備わっていたのです。冷蔵庫がなかった頃、私の母は余った食べ物のにおいを嗅いで、「これはまだ食べられる」とか「これはもう捨てないとだめだ」というようなことを言っていたのを思い出します。

現代人はこの大切な能力をどこかに放り出して、ネットやメディアあるいは専門家の意見などを参考にして生きているといっても過言ではありません。テレビでは健康番組が大はやりです。しかし、わたしたちの身体は病気を治すのに何が必要か、わかっているのです。以前にもお伝えしたことと思いますが、がんは私たちの身体が発するメッセージなのです。「もう今の生活を続けたら体がもたないので何とかしてください」というメッセージを私たちに送ってくれていると言ってもいいと思います。代替治療者、デレク・オニールは、この大切なメッセージに気づいて自分の生活をチェンジしてやれば、がんの存在する意味はなくなり、身体のなかでエネルギーが動いて治癒の仕組みが働くようになると言っています。この大切なメッセージに気づくためには直観力が必要です。

さて、この直観力を磨くにはどうしたらいいのでしょうか?ケリー・ターナーは直観力を支配する脳のシステムは右脳と動物脳と言われる大脳辺縁系と間脳にあると言っています。このシステムは冷静に状況を判断し分析して動き出すものではなく、本能的に湧き出ずるものです。しばしば直観が非合理的、非理性的に感じられるのはそのためです。

それでは、どうしたらこの直観力を高めることができるのでしょうか?ここではケリー・ターナーが薦める直観力を磨く方法を以下にあげておきましょう。直観を磨くには、1.瞑想する時間を作る。いつもテレビを観たり、ラジオを聴いていてはだめ。静かな音楽を聴きながら心をリラックスさせる。2.大脳辺縁系にアクセスするために、イメージ療法のCDを使う。瞑想する。これも瞑想のためのCDがありますのでそれを用いるとよいでしょう。3.日記を書くのもよい方法です。自分に問いかけながら日記を書くと直観力が研ぎ澄まされます。4.夢を活用する。寝る前のリラックスした状態で大切な質問を紙に書いておく。寝る直前にそれを読み、自分の直観に「答えを教えてください」と願う。翌朝、目覚めたらすぐに、見た夢を解釈せずに書き出す。書き出したものを直観を頼りに解釈する。

最後にケリーは言っています。「腹の底で感じたことは、分析して頭で出した答えより多くの場合、正しかった。」と。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」364号(2016年4月5日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士