正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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統合医療とは何だろうか?第12回

     - 統合医療

ホリスティック医学の定義をもう少し掘り下げてみましょう。以下の説明は日本ホリスティック医学協会編のテキスト、「ホリスティック医学」に準拠しつつ、それに著者の考えを加えています。

①.ホリスティックな(全的な)健康観に立脚する:人間を体・心・気・霊性等の有機的統合体としてとらえ、さらには社会環境(家庭、職場、地域、そして国)や自然環境まで含めた全体的な視点から健康を考えます。日本の医学教育は疾病は教えても健康を教えていませんが、これでは病気がなおっても以前の生活習慣に戻れば再度発病してしまうでしょう。「病気ではない」ことがゴールではなく、体と心の調和が取れた「健康」こそが最終ゴールであるべきです。

②.自然治癒力を癒しの原点におく:人間には本来、病気から回復する機能が備わっていますが、それが自然治癒力です。例えば、皆さんは風邪は風邪薬で治るとお考えかもしれませんが、風邪薬は単なる対症療法にすぎません。つまり熱があれば熱をさげてやる、のどの痛みがあればいたみをとってやるというのが薬の役目であり、決して風邪のウイルスを退治しているわけではありません。風邪はどうして治るかと言うと人間が持っている免疫力でウィルスをやっつけているのです。ですからいくら薬を飲んでも、風邪の間中、暴飲暴食や寝不足が続いて免疫力が低下していれば風邪は治らず、最悪の場合は肺炎に罹患してしまいます。この自然治癒力を基盤におくような「治療」こそホリスティック医学や統合医療が求めているものです。

③.患者が自ら癒し、治療者は援助する:病気に罹患しているのは医師ではなく、患者さんです。ですから患者さんがまず自分の病気は自分で治すのだという気持ちになっていただかないと、病気はよくなりません。これはとくにがんの患者さんにいえることだと私は思います。「わたしは病気のことはわからないから先生にすべてお任せします」と言って医師に自分の命を丸投げする方がよくいらっしゃいますが、これでは医師から「あなたの予後はあと一年です」といわれたら、そのとおり死ぬしかありません。治療者はセルフケアや養生法のアドバイスをし、患者さんが治癒するお手伝いをするという姿勢が求められます。

(この項、次回に続く)


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」308号(2011年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
医療法人 札幌がんフォレスト
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

医療法人札幌がんフォレスト 癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士