正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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統合医療とは何だろうか? 第29回

     - 統合医療

前回は免疫を担っている細胞(免疫担当細胞)についてお話ししましたが、
今回はもう少し詳しく、この免疫担当細胞について解説しましょう。

免疫担当細胞とは白血球のことですが、白血球はマクロファージ(単球)、
リンパ球と顆粒球に分かれます。
マクロファージは別名食細胞ともいわれ、病原体などの異物を食べて、
その病原体の情報をリンパ球に伝える役割があります。
この意味で「抗原情報伝達細胞」とも言われています。
リンパ球は前回お話ししたようにB細胞とT細胞に分かれています。
B細胞は抗体という病原体などの異物を攻撃する物質を作ります。
T細胞はヘルパーT細胞とキラーT細胞に分かれます。
ヘルパーT細胞はB細胞に情報を伝達したり、
キラーT細胞に命令して異物を攻撃させたりします。
また、サイトカイン(種々の細胞間情報伝達分子となる、微量生理活性タンパク質)を
産生して免疫反応を助けます。キラーT細胞はヘルパーT細胞の命令を受けて、
異物を攻撃するリンパ球です。このほか、リンパ球にはNK細胞があり、
これはがん細胞が体内に発生するとただちにこれを攻撃して撃退する細胞です。
一方、顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球がありますが、免疫を司っているのは好中球です。
好中球は細菌などの病原体が体内に入るとこれを攻撃する細胞です。

これらの免疫担当細胞によって免疫系は私たちの体を外敵から守ってくれているのですが、
この免疫には自然免疫系と獲得免疫系の2種類があります。
自然免疫とは、以前にその病原体と戦ったことがなくても、
体内に進入した病原体に対して、過去の記憶に頼らず、排除する防御反応です。
若年者では、自然免疫が良好に維持されているといわれています。
片や獲得免疫とは、過去に1度、体内で戦ったことのある病原体や物質
(ウィルスや細菌感染、時にはがん細胞など)が再び体内に侵入してきた場合に発動される免疫系で、
過去の記憶に基づいて発動される強力で効率の高い免疫系です。
自然免疫を司る細胞はマクロファージ、好中球、NK細胞などで、
獲得免疫はT細胞、B細胞が担当します。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」337号(2014年1月6日発行)に掲載された記事です。

著者
小井戸 一光
癒しの森内科・消化器内科クリニック 院長

癒しの森内科・消化器内科クリニック

略歴
1977年、北海道大学医学部卒業。北大第3内科入局、臨床研修を受ける。

1982 年より自治医科大学放射線科で超音波を含む画像診断や、画像を用いておこなうがん治療(IVR)に従事。

1985年より札幌厚生病院消化器内科医長。消化器疾患の診断と内視鏡・IVR治療をおこなう。

1996年より札幌医科大学放射線科助手。消化器疾患の画像診断、がんの非手術的治療の研究に従事。1999年講師、2007年准教授。この間、イギリス王立マースデン病院、ドイツアーヘン大学、カナダカルガリー大学に出向。

認定資格
日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本超音波学会専門医・指導医、医学博士