正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

ヨガライフスクールインサッポロ 機関紙「未来」ウェブ

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振り上げた手のおろし方

もう少し、あと少しのはずと思いながら、
新型コロナウイルス感染拡大で変わった私たちの日常はなかなか元に戻る気配が見えません。
皆さん、かなりお疲れになってきたと思います。
多くの医療者もまた、早い時期から感染への恐怖に加えて、孤立感や差別される感覚を持っていました。
子どもに感染させまいと車で寝泊まりしたり、子どもが学校でいじめられたりという話を聞き、
やり場のない怒りにいきどおり、
振り上げた手を下す方法も分からずに混乱したことも少なくない状況でした。
怒りは普通の感情、防衛の感情です。
攻撃されたり脅かされたり、ないがしろにされたりしたときに発動します。
無理に封じるのは不健全なこと。けれど、怒りをぶつけられた人はたまったものではありません。
いきどおりを感じ抵抗する。怒りの連鎖、悪循環の始まりです。怒りはなかなか厄介な感情です。

動物ならば、本能的に攻撃するところですが、理性や言葉があるので、
攻撃や破壊的な方法で相手を傷つけずに怒ることをしなければならないのでしょう。
また、私たちは自分の中にある価値観や期待など「こうあるべき」に左右されます。
異なった価値観に対して、怒りが生じる場合もあります。
さらに、普段は大したことはないと感じることも、辛い、苦しい、悲しい、焦り、不安に加え、
疲労や体調不良などで大きくなってしまうこともあります。
今はまさに、そんなときといえましょう。なので、心身のケアが大切なのです。
いかに、理性を取り戻し、怒るか怒らないかを見極める。そして、行動を選ぶこと。
何をすると良いのか悪いのか、答えの出ない不確かな状況で先行きが見えずに疲弊しています。
時に、自分で自分をねぎらうことも大切と感じます。
「そう、私はこんな中でよく頑張っている」と言葉にしてみるもの良いかもしれません。
振り上げた手は、グルグル回して、うーんと伸びをしてみましょうか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」427号(2021年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。