正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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ゴマ

     - クスリになる食べ物

ゴマはインドで「万能薬」、中国で「不老長寿の秘薬」といわれる食材です。
日本には縄文時代に中国から伝えられました。
インド原産のようですが、近年は、「ゴマはアフリカのサバンナが原産地である」との説が有力です。
奈良時代にはすでに栽培され、平安時代には食用にされていたようです。
「金」「銀」「銅」なら、オリンピックのメダルの色が思い浮かびますが、
ゴマには「金」「黒」「白」があり、これらの名前は、種皮の色に因んでつけられたといわれます。

ゴマ油をとることから想像されますように、ゴマの種子には、脂質が多く、
脂肪油40~55%(リノール酸、オレイン酸、ステアリン酸などのグリセリド)、
また、タンパク質が約20%含まれています。
そのため、肉食を禁じた精進料理では、ダイズとともに貴重なタンパク源でした。
ほかにセサミン、セサミノールなどのリグナン化合物、
カルシウム、鉄などのミネラルを含み、栄養価の高い食品です。
また、ゴマには老化を抑制するビタミンEが多く含まれています。
抗酸化作用、アルコール分解促進作用、血中のコレステロール低下作用などが認められています。
また、ゴマペプチドには降圧作用があり、
特定保健用食品として健康への役割が知られていますが、肌を潤す効果もあります。

ゴマの力は、「世界の三大美女」の一人であるクレオパトラの美貌を支えたといわれます。
彼女の美しさは、エジプトやローマ帝国の歴史を動かす上で、大きな武器になりました。
そのため、「もしも、クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史が変わっていただろう」といわれます。
これは、フランスの哲学者パスカルの言葉です。
パスカルは、「人間は考える葦である」という言葉を残した人でもあります。
彼女の美貌の大きな要因の一つは、肌の美しさだったそうですが、
美しさを支えた植物の中の一つが、ゴマでした。
ゴマに含まれる“若返りのビタミン”といわれるビタミンEや、
老化を予防するセサミンやセサミノールなどが、彼女の肌のつややかな輝きを支えたのでしょう。

胡麻の花
濡れしに思い至りけり
加藤楸邨

ゴマ


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」427号(2021年7月5日発行)に掲載された記事です。

著者
福士 高光
株式会社ケルプ研究所 代表取締役会長

略歴
F・E・ヨガライフ協会会長。理学博士。F&Eシリーズ開発者。