正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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健康を考える

おなかいっぱい食べて寝転がる、体を動かしたりゴロゴロしたり。一生懸命働いたり、働かなかったりする。歩いたり走ったり、すぐにタクシーに乗ったりする。子どもを産んだり産まなかったり、育てたり育てなかったり。寝て、また食べて、働く。

これらのほとんどは、他の動物が黙々とやってのけている特別でもなんでもないこと。ただそれだけのことですが、私たちは周囲の情報に一喜一憂し、時に踊らされているのではないでしょうか。「ただ生きる」それだけのことが、そう簡単でなく、大変な時代になっているのでしょうか。

健康番組で取り上げられた食品が、翌日スーパーでは売り切れてしまう。テレビ番組をチェックすることが、仕入れ担当者の大事な仕事になっているそうです。赤ワイン、ココア、黒酢、大豆、ヨーグルト。バランスよく、一日三食ということはわかっていながら、実際にはこれらの情報を自己流にアレンジして使っています。自己流というところが大切かもしれません。

健康になるために、野菜を食べなければならない、お肉はこれだけ、お酒は少し、タバコはだめ・・・。聞いていて気分は滅入ってしまうような目標ばかりがあげられます。そんなにしてまで長生きをしなくてはならないのかしらと思うこともしばしばです。私たちは長生きをして、何をしようとしているのでしょうか。健康であることが楽しみと結びつかないと、しっくりこないような気がします。

日々繰り返し生きていく。ただ単にそれだけのことが、自己責任を負うものとして深刻に考えられ、様々な情報を参考にしながら丁重に扱わなければならないことに変わってしまったのかもしれません。そんな時代に生きているわたしたちの健康を、未来を考え直すことが必要かもしれません。

あなたは長生きして、何をしたいと思っていますか?


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」230号(2005年2月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。