正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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夏の日焼け

その昔、小麦色に日焼けした姿は男女問わずカッコウよく、魅力的であった時代がありました。今は、日傘に日焼け止めが欠かせず、日焼け対策をしている人が多いと感じます。

過度な日焼けは、健康に悪いのは間違いありません。けれど、日光浴をすることにより骨に重要なビタミンDをつくったり、精神的に良いセロトニンを分泌させたりする効果があります。そのため、日に当たることは悪いことばかりではありません。

少し具体的に示します。まずは、日焼けの悪い点です。日焼けには、体にすぐ変化があらわれるものと、ジワジワ来る変化とがあります。

すぐに出てくるのは、紫外線によっておこる皮膚のやけどで、皮膚の炎症です。数日後、紫外線の刺激により、メラニンが増えて色が黒くなる状態です。これは皮膚への影響が大きいため、色が黒くなるほどの日焼けはおすすめできません。

日焼けの影響は肌だけではありません。目にもあります。多いのが、紫外線角膜炎です。

充血や涙、異物感、目の痛みが生じます。

日焼けして、しばらく時間がたってジワジワ現れるものの代表は、恐ろしいシミやシワです。日焼けによる皮膚がんもありますが、初期の段階で治療すると怖くはありません。目の症状、白目が黒めの部分に侵入してくるものや、白内障もその例です。

これに対し、日焼けで良いこともあります。先に触れたように、骨の栄養素であるビタミンDは紫外線を浴びることで作られます。ビタミンDは腸から吸収されるカルシウムの量を増やしてくれます。また、日光浴によって分泌されるセロトニンは精神的に落ち着かせてくれる働きがあります。注意力の向上にも効果があります。セロトニンが不足すると不安な気持ちが強くなったり、うつ状態になったりします。

そこで、過度な日焼けは避けて、20分程度で良いので散歩をして日光を浴びることをお勧めします。それでも日焼けを避けたい方は、手のひらを太陽に向ける方法がおすすめです。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」440号(2022年8月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。