正しい食と適宜の運動、そして明るい心こそが真の健康を築きあげます。ここでは、機関紙「未来」に掲載されたコラムを発信してまいります。

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日曜日の午後五時

「日曜日の午後五時頃って、なんとなく悲しい気持ちになるのです。」先日、学生に言われました。日曜日の夕方から気分が沈んでしまう。月曜日には私の講義があるので、夕方になると私の顔が浮かぶそうです。人の顔を浮かべて、悲しい気持ちになられるのも嫌ですが、私もその気持ちは理解できます。これは、いわゆる「サザエさん症候群」といわれるものです。テレビで「サザエさん」の放送が終わるということは、日曜日が終わることを意味していて、気分が沈んでしまうのです。

お休みの前のわくわく感。何か特別なことが起こるのではないかという期待。この期待はついつい大きくなってしまいます。けれど、予定を立ててもなかなかその通りになるものではありません。万一予定通りにできたとしても、期待通りの感覚が味わえないことが多いかもしれません。

「せっかくのお休みに、こんなことでいいのかしら?」と疑問を持つかもしれません。
でも、そんなものですよね。日曜日が毎回特別なものであるはずもなく、イベントたくさんの時は限られていて、だから休日はのんびり、ゴロゴロ無意味にすごすことができるのかもしれません。それが心や体には本当は大切なのですが、何かしなくてはとあせってしまう。その結果、気分が沈んできてしまう。「あーあ、明日からまた仕事」ということになるようです。

誰もがそんな気持ちを持っていますから、あまり気にする必要はありません。ですが、長く憂鬱な気分が続く場合は注意してみてください。

こんなふうに考えてはいかがでしょうか。予定は立てること自体、楽しく意味があることです。それを守るかどうかは別問題。いっそ守れなかったのではなく、いかに破ったかという点から考えてみてはいかがでしょう。これができるのが休みの特権です。仕事では予定を破ることはそう許されることではありません。
休みの特権です。

前日は休日のプラン作りを楽しみ、当日は計画を破ることを楽しむ。いかがでしょうか。


この記事はヨガライフスクールインサッポロ機関紙 「未来」238号(2005年10月5日発行)に掲載された記事です。

著者
村田 和香
群馬パース大学保健科学部
北海道大学名誉教授
保健学博士

略歴
札幌市内の老人病院に作業療法士として勤務。その時に、病気や障害を抱えた高齢者の強さと逞しさを実感。以後、人生のまとめの時である老年期を研究対象とし、作業療法の臨床実践、教育・研究のテーマとしている。